有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #ニュースの核心

意外に効果大⁉ 新試算で浮上した年金改革案 将来世代の給付水準が現行制度に比べ10%前後も改善

4分で読める 会員登録で読める

暮れも押し迫った2020年12月25日、厚生労働省は年金財政検証の追加試算を公表した。ほとんど報道されなかったが、今後の年金制度改革を占ううえで重要な資料になりうるものだ。

追加試算で仮定されたのは、現在は別々である基礎年金と厚生年金の報酬比例部分(以下、報酬比例)の給付水準調整期間を一致させるというものだ。実際の法改正では制度内部の資金配分見直しが想定される程度で、家計や企業の保険料負担が増えるといったものではない。にもかかわらず、調整期間を一致させると、将来世代の年金給付水準は現行制度に比べ10%前後(標準世帯)も改善されることがわかった。そのからくりを以下で見ていこう。

少子高齢化で諸外国に先行する日本では、04年の法改正により世界でもユニークな制度が構築された。一言でいえば、年金財政の均衡に、より重点を置いたものだ。

具体的には、現在の保険料率(厚生年金18.3%の労使折半)を固定したうえで今後約100年間の収入総額を想定し、この期間内で収支が均衡するように給付水準を調整していくというものだ。給付調整では、将来世代だけの犠牲とせず、現在の年金受給者を含めて実施するマクロ経済スライドという方式が採られている。

この給付調整は、基礎年金と報酬比例で個別に適用されている。見通しでは、収支差悪化が大きい基礎年金において、より長い調整期間を必要とし、給付水準低下は報酬比例を大きく上回る状況だ。

これにより生じる不都合は、公的年金の所得再分配機能が損なわれることだ。一例を挙げてみよう。月給44万円の人は、同22万円の人の2倍の厚生年金保険料を拠出するが、給付は2倍にはならない。報酬比例部分の給付では確かに前者9万円、後者4.5万円となるものの、一律6.5万円の基礎年金が全員に給付されるため、総給付では前者15.5万円、後者11万円とその差は約1.4倍まで縮まる(19年度、40年加入の場合)。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数