テレビ局の事業構造は変革を余儀なくされている。それが如実に表れたのが、各社の2020年度中間決算(9月末)だ。
コロナ禍による広告市況低迷で、各社の業績は大幅悪化。テレビ広告の収益柱とされるスポット広告では一時、前年比4割減(東京地区)という衝撃的な数字も出た。
そうした現状を踏まえ、各社はデジタルシフトを加速させている。
日本テレビホールディングスは、23年までにデジタル領域での連結売上高1000億円を目指す方針を掲げる。地上波とは別に200億円の戦略的投資枠を新設。従前は視聴率と広告収益を重視した番組編成が行われていたが、傘下の動画配信サービス「Hulu(フールー)」やイベントを併せた展開など、収益源の多角化を前提にした番組制作を強化する。
その他のキー局も、課金制動画配信サービスには熱心に取り組む。20年4月にテレビ朝日がKDDIと共同で動画配信サービス「TELASA(テラサ)」を開始しスピンオフ番組などを強化。TBSHDとテレビ東京HDが出資する「Paravi(パラビ)」やフジテレビの「FOD」なども同様だ。
そんな中、新潮流として注目されるのが地上波放送の「ネット同時配信」だ。日本テレビ放送網が先陣を切り、20年10〜12月の3カ月間、民放共通の動画サービス「TVer(ティーバー)」を使ってトライアル実施している。あくまで試験的取り組みとしているが、若年層を取り込むことを考えれば、今後不可避な流れといえる。
同時配信に関して多くのテレビ局関係者が挙げていた権利処理の問題も、21年の国会で提出される見込みの著作権法改正案である程度片がつきそうだ。
ただ、ネット同時配信に向け環境が整うことと、実際に視聴者に受け入れられることとは別問題。あるテレビ局関係者は「NHKや日テレの同時配信開始はそこまで話題にならず、多く見られているわけではない」と語る。踏み込んだところで採算が取れるのかという疑問は、業界内に根強い。
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