カリフォルニア州トーランス市。住民の約4割がアジア系であるこの市にあるウィルソンパークの中を歩くと、日本語、中国語、韓国語、スペイン語など、さまざまな言葉で話す声があちこちから聞こえる。園内で散歩やスポーツを楽しむ人々の圧倒的多数は、非白人だ。
6月10日、この公園がアジア人差別事件の現場となった。園内の階段でエクササイズをしていたアジア系の女性、シェリアン・ブルスコさんが、リーナ・ヘルナンデス(54)という女性から「ここから出て行け、国に帰れ。出て行かないと、ひどい目に遭わせるぞ」と、いきなり脅されたのだ。11歳と2歳の子どもを連れたアジア系の男性も、ヘルナンデスから「チャイナマン」と罵声を浴びせられ、「あなたはここにいるべきではない」と詰め寄られた。
被害者たちはその状況を個々に録画しており、生々しい差別発言を含む動画がSNSで拡散された。
ビデオの中で、憎しみをむき出しにして叫ぶヘルナンデスは、その言動が録画されていることを知りつつも、まったくひるむことなく被害者を罵倒し続けていた。
「私はトーランスに40年間住んでいるが、同じ人物が同じ日に差別事件を2件立て続けに起こすとは前代未聞。大人だけでなく、幼い子どもたちまで巻き込まれた。どんなに怖かったことか。司法による裁きが厳正に下されるように、政府に働きかけている」
このように語るのは、日系米国市民人権団体「JACL」のサウス・ベイ支部会長、ケント・カワイ氏だ。
事件直後、トーランス市の検察当局は「犯罪として扱うには証拠不十分」という声明を出した。だが、被害者や住民たちは「ビデオにこれだけはっきり差別や脅しの証拠が映っている」と粘り強く主張し、集会を開いた。その結果、ヘルナンデスには昨年秋、余罪もあった事実が判明した。
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