誤解されているのが標準治療という言葉。標準治療とは「並の治療」ではなく、日本では健康保険が適用される、最も効果が期待できる「最高レベルの治療」だ。患者さんの中には、「新しい治療法=優れた治療法」だと思い込んでいる方もいるが決してそうではない。標準治療に組み込まれていない新しい治療法は、「まだよく効くかどうかわからない」レベルなのだ。標準治療は最善治療だと言い換えてよい。
国が定める「先進医療」は、海外や国内の基礎研究、臨床研究である程度効果が認められているが、国が承認して保険適用にするほど信頼性の高いデータが得られていない治療法のこと。臨床試験で効果が実証できれば標準治療と見なされ、保険適用になる。毎年約100種類が先進医療に指定されているが、そのうち効果が証明されて保険適用になったのは1999年から2016年の間で109種類。全体の約6%にすぎない。先進医療がそのまま標準治療にはならないことがわかる。
腫瘍内科医が少ない
患者さんは病院選びに際して、標準治療を行っているかどうかを見極めてほしい。科学的な根拠に乏しい、怪しいがん情報を発信するサイトではなく、まず国立がん研究センターの「がん情報サービス」などを参照してほしい。国や地域で指定されている、がん診療連携拠点病院で診療を受けるのが賢明だ。そこでは治療方針は複数の専門家が相談して決めている。
日本のがん治療の課題として、抗がん剤治療に当たる腫瘍内科医の少なさが挙げられる。日本では臓器別の診療科が医療の中心にあって、がんでも、診療科が中心的な役割を果たしている。ところが欧米では臓器の専門医とは関係なく、全身を診る腫瘍内科医が抗がん剤を処方する。腫瘍内科の専門医資格を持つのは日本が1300人なのに対し米国では1万7000人。日本のこの数では、まともな抗がん剤治療ができない。欧米では抗がん剤治療を行えるのは腫瘍内科医に限られるが、日本は外科の医師も処方できる。腫瘍内科医の仕組みが定着しないのは、大学の医局制・講座制の名残であろうが、早急に改善する必要がある。
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