店舗の「3密」──。緊急事態宣言後、銀行が直面した想定外の課題だった。
銀行がコロナ禍でも店舗を開けていたのは、資金繰り支援のような急を要する相談に対応するためだった。しかし実際には外出自粛で時間のできた顧客が「不急」の要件で殺到してしまった。
まさに、銀行のデジタル化の遅れを改めて浮き彫りにした出来事だった。取引のデジタル化が十分に進んでいれば店舗の3密を避けることができ、本当に必要な業務に専念できただろう。
そもそも業務のデジタル化について、銀行はこれまで「顧客ニーズに合わせて進めなければならない」(三菱UFJ銀行幹部)と、急速に進展させることをためらっていた。しかしその状況は一変、顧客側から銀行のデジタル取引を求める動きが強まっている。
三菱UFJ銀行では、1年前は全体の12.6%にすぎなかったスマートフォンを通じた口座開設が、5月には25.7%まで増加した。アプリからのカード再発行の手続きに至っては、全体受付数の16.8%から44.1%にまで上昇している。法人向けでも、中小企業向けオンライン融資サービス「BizLENDING」を通じた融資申込件数が、コロナ前と比較して約3倍に増加した。
ただ、冒頭のように窓口に顧客が殺到するのは、手形決済や税金納付など紙での対応が必要な業務があるから。一部の手続きにはまだ印鑑が必要というものもある。各銀行は業務の見直しを行ってさらなるデジタル化を進める。
店舗では相談業務に特化
デジタル化と同時に進めているのが店舗改革だ。キーワードは「機能特化型店舗」。現在店舗で行われている振り込みなどの手続きをデジタル取引に移行させ、店舗では対面でしか対応できない業務に重点を置くというものだ。
この記事は有料会員限定です
残り 676文字
