世界では毎年900万人が餓死、もしくは飢餓に関連した病気で死んでいる。オーストリアの人口に匹敵する人数だ。これだけでも十分に悲劇といえるのに、新型コロナウイルスによる食料供給の混乱で、その数は今年倍増するおそれがある。国際社会は直ちに行動を起こすべきだ。
国連世界食糧計画(WFP)は、コロナ禍で飢餓が深刻化するおそれがある国として26カ国を挙げる。アフリカではエチオピア、ナイジェリア、モザンビークがとくに厳しい。WFPの推計によれば、慢性的な飢餓状態に置かれている人々は、この3カ国だけで5600万人(人口の約16%)に達する。
コロナは食料確保の面で貧困国に大きく4つの問題をもたらした。
まず各世帯の所得が下がり、食べ物にますます手が届かなくなったことだ。バングラデシュの世帯調査によれば、貧困層の所得はすでに7割も落ちており、半数近くの世帯が食事の量を減らしている。
次に、食料輸送にかかる手間と費用が増大した。世界の海上輸送が1〜3月に25%減となる一方で、太平洋をまたぐ航空貨物の運賃は3月だけで3倍に跳ね上がった。新たな防疫措置に加え、社会的な距離を確保しなければならず、通関や配送にも遅れが出ている。
3つ目に、農作物の世界的な供給に支障が出始めている。例えば、インドでは封鎖措置が解除されるまで小麦の収穫を遅らせるようにとの勧告が農家に出されている。ベトナムやカンボジアなど、コメの輸出規制に乗り出した国もある。打撃を受けるのは、毎年45億ドル(約4810億円)相当のコメを輸入しているアフリカだ。貧困国では外貨不足から食料輸入が一段と難しくなり、食品価格の高騰に歯止めがかからない。
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