リーマンショック直後と同様、解雇や、非正社員の雇い止めが相次いでいる。厚生労働省によれば、4月10日時点で1750人を超えている。中でも真っ先に雇用不安に直面しているのが、外国人労働者たちだ。
「まさか子どもが生まれたばかりのこんなときに、仕事を失う羽目になるとは思わなかった」。三重県に住む30代のフィリピン人男性はそう話す。2016年に同じ日本在住のフィリピン人女性と結婚し、日本に定住している。
3年ほど前から、ホンダの下請けの自動車部品工場で派遣社員として働いてきた。異変が生じたのは2月下旬のことだった。派遣会社の社員から日本語のみで書かれた1枚の紙を渡され、併せてもう1枚の紙にサインするよう強く求められた。
日本語の理解は、会話こそまずまずだが、漢字の読み書きはほとんどできない。そんな男性に渡された1枚目の紙は、3月末の期間満了をもって雇用契約の更新をしないという「雇い止め通知書」。署名を要求されたもう1枚はその「同意書」だった。「漢字が読めず、理解できない内容の書面だったが、強く言われて、ついサインしてしまった」と男性は振り返る。
「会社都合で行う雇い止めに対し本人から同意書を取るというのは、本来理屈としておかしいが、後でトラブルにならないよう一筆取ろうとしたのではないか」。男性が加入する地域労働組合「ユニオンみえ」の神部紅(じんぶ・あかい)書記長(写真右)はその狙いを読み解く。
男性は妻の出産に合わせて育児休業を取得したい、と派遣会社に申請していた。「そうした権利主張が嫌がられ、真っ先に雇い止めのターゲットとされたのではないか」(神部書記長)。
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