2020年の今年、創業から150年を迎える三菱。所属企業が経営の独立性を高める今、「三菱」の求心力とは何か。創業150周年記念事業委員長を務める三菱重工業の宮永俊一会長に三菱一号館で聞いた。
──三井や住友などほかの旧財閥と比べ、三菱の成り立ちにはどのような特色があると思いますか。
三菱の事業は、明治時代という大変革の時代の夜明けとともに始まった。初めは物流や貿易といった海運業を担い、海運業のバリューチェーンに近い保険、鉱山、金融、造船業などの業界へと事業を広げ、価値を見いだしていく。こうして三菱は、世の中の流れに合わせて短期間で経営を多角化させていった。
(三菱よりも歴史の古い)三井は衣料品、住友は銅鉱業と、江戸時代を通じて安定的な需要の見込める1つの事業を長く続け、じわじわと業容を拡大させてきた。それに比べると、三菱のアプローチは非常にダイナミックで、スピード感があったといえる。
──これまでの仕事で三菱系である利点を感じたことは?
海外で仕事をすると、「三菱」というブランド力のアドバンテージを実感できる。日本で三菱重工業といえば、皆何となく知っている。ただ海外は違う。当社のような事業領域の広い重工業の企業がほぼないこともあり、事業のイメージが湧きにくいようだ。
そのとき、「MITSUBISHI」という名前を出せば、信頼感をもって受け入れられる。電化製品の三菱電機や三菱自動車が多くの人に知られているからだ。あくまで、仕事をするうえでの取っかかりにすぎないが、三菱ブランドが持つ価値を実感することが多かった。
反面、この価値を毀損するのは絶対にまずい、という責任感も伴い、頑張らないといけないこともあった。前向きに考えれば、つねにそういった意識を持ちながら仕事ができるのはよいことだと思う。
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