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イラン司令官殺害に政策的根拠なし 戦争の現実を知らないトランプ大統領

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ベトナム戦争で5回も徴兵猶予を受けたトランプ米大統領は、戦争の現実を知らない。執務室から作戦を指揮するだけのトランプ氏は、敵国要人の殺害を外交政策の切り札と考えているに違いない。ドローンやライフルで大物を仕留めれば一件落着という発想だ。しかし暗殺が問題解決につながるという根拠はない。歴史は、暗殺が事態を激しく悪化させた事例であふれている。

暗殺はほとんどの場合、ヤケクソのギャンブルだ。まともな政治家が頼る手段ではなく、首謀者は主に過激派だった。欧米で暗殺が“全盛”となったのは19世紀後半〜20世紀前半。この頃、無政府主義者などによって数々の要人が殺されている。米大統領のガーフィールドとマッキンリー、ロシア皇帝アレクサンドル2世、ハプスブルク家の皇妃エリザベート、イタリア国王ウンベルト1世、フランス大統領カルノー、スペインの2人の首相といった具合だ。

無政府主義の刺客たちがロシアの思想家、バクーニンとクロポトキンを英雄視していたのは偶然ではない。19世紀ロシアの無政府主義者は、専制に対抗する手段として暗殺を正当化した。バクーニンとクロポトキンはこれを「行動による宣伝」と呼んだ。しかし彼らの暴力的アナキズムは、結果的にスターリニズムという最悪の恐怖政治を生み落とすことになる。

一方、1920〜30年代の日本で暗殺は、軍部が政府を牛耳る手段としてある種の完成を見た。中国侵略を邪魔する文民(シビリアン)を何としても排除しなければならないと考えた軍の極右勢力は、一連のテロに手を染める。32年にはロンドン海軍軍縮条約に不満を持った海軍将校らが犬養毅首相を射殺した(五・一五事件)。この日、首相官邸に招かれるはずだった喜劇俳優チャップリンの暗殺も計画されていた。首謀者の刑は軽く、これがさらなる流血の伏線となり、36年の二・二六事件につながる。

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