国有地が森友学園に格安で払い下げられた問題をめぐり、当時NHK記者としてスクープを連発した相澤冬樹氏。だが「安倍官邸とのつながり」を薄めるように原稿を書き換えられたという。内部で組織の異変や圧力を体感してきた相澤氏は、今のNHKをどうみているのか。
──NHKの報道が政権寄りだという懸念が高まっています。
現在の放送法の下では、会長人事の決定権を持つ経営委員会のメンバーは首相が選び、予算の決定には国会の承認が必要だ。人と金を握られていて、政治と折り合いをつけないといけない場面が多い。だから政治部の力が強くなる。それは仕方がない。
ただ、今は折り合うというレベルを超えて、政治におもねるようになっている。「政権からの露骨な指示があるんじゃないか」と、中にいる人間も思っている。
ネタをくれる取材先とネタをもらう記者は上下関係になりやすいし、記者は取材先から気軽にものを頼まれる。昔のつながりで報道局長や経営幹部に秘書官からダイレクトに意見が来る。それに対応するのは、政権の言いなりになっているということだ。
──上層部の中には、圧力をはねつけられる人はいない?
理事の中には立派な人もいる。ただNHKは超縦割り組織。理事はそれぞれ担当が決まっていて、立場があるので、言いたくても言えないのだろう。現場には気概を持って働く人がたくさんいるが、圧力から守る壁になってくれる人がいないと力を発揮できない。
NHKの報道でおかしなものはほんの少ししかないが、そのせいで全体がおかしいとみられてしまう。それが露骨に出たのがN国党(NHKから国民を守る党)だ。
彼ら自身は泡沫候補だった頃から何も変わっていない。今年の参議院選挙比例区で90万を超える票を獲得できたのは、度が過ぎた政権への忖度(そんたく)でNHKが信頼を失ったから。NHKをぶっ壊しているのは、N国党ではなく上層部だ。
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