
フランス保健省は昨年、アルツハイマー型認知症(AD)で承認・販売されている4つの抗認知症薬すべてを公的医療保険の対象外とすることを決めた。
抗認知症薬にはADを治す効果はないものの、患者によっては症状の進行を一時的に遅らせる効果があるとされている。それでも「効果があまりない割に副作用が無視できない」と仏当局は判断した。
日本の認知症患者は2012年時点ですでに462万人。その半分以上はADが占めている。
抗認知症薬は効かない患者が一定の率で存在するうえ、怒りやすくなるなどの副作用もある。処方で問題視されているのは、過剰投与が決して少なくないことだ。患者に「興奮や易怒(いど)性(度を超した異常な興奮性)」が出ているのに、これを増量投与の副作用とみずに、薬の投与を続け、患者の病気を悪化させる。在宅医療に詳しい長尾和宏医師(兵庫県尼崎市、長尾クリニック院長)は、増量投与の問題点をこれまでたびたび指摘してきた。
過剰投与を生んだのは、段階を踏んで機械的に規定最高量まで増量すべきという「増量規定」があったからだ。保険診療上のこのルールによって、患者の症状からすれば少量投与が望ましい場合でも機械的な増量が行われていた。2016年にようやく厚生労働省の通知によって撤廃された。
それでも過剰投与はなくなっていない。さらに別の問題もある。
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