動脈硬化や脳梗塞、狭心症・心筋梗塞の原因になるコレステロール。健康診断で「コレステロール値が高い」と言われたことのある人は多いだろう。
コレステロール値は下げたほうがいいのか否か。これまでも医師の間で論争があった。現在は、単にその数値だけではなく、ほかのリスク因子にも着目すべきだという考えが強くなっている。
こうした点で、今2つの研究が注目を集めている。
1つは日本で実施された臨床試験「EWTOPIA(ユートピア)75」。昨年11月の米国心臓協会学術集会で発表されたもので、「過去に心筋梗塞や狭心症を患ったことのない75歳以上の人でも、LDLコレステロール値が高ければ薬物治療をしたほうがいい」ことが示された。
もう1つは、9月に医学雑誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に掲載されたスペインの研究。代表的なコレステロール降下薬であるスタチンを服用する75歳以上と、それ以外の75歳以上を比較したところ、「糖尿病を合併していない75歳以上では、スタチンに心筋梗塞の予防効果はない」という結果になった。
「薬物治療をしたほうがいい」という前者と「スタチンに心筋梗塞の予防効果はない」とする後者。逆の結果になっているようにも思えるが、「矛盾はしていない」と慶応大学医学部の岡村智教教授は述べる。「ユートピア75の論文はまだ公表されていないが、概要を見る限り、高コレステロール血症に加え、糖尿病や高血圧、脳梗塞などの既往症がある高齢者が被験者になっている」。
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