通信キャリア、ネット企業の両方で事業を動かしてきた夏野剛氏。5Gによる構造変化をどう見るのか。
──5Gは通信業界のビジネスにどんな影響を及ぼしますか。
モバイル、固定回線、Wi-Fiといったネットワークの違いを利用者が意識する必要がなくなる。通信キャリアから見ると、差別化要素が薄れ、ビジネスが“土管化”する。取り扱うスマートフォン端末はすでに差がないし、今後は地方での基地局の共有も進むだろう。さらに政府は、通信料金そのものに対する値下げ圧力に加え、オプションを抱き合わせで契約させる「レ点ビジネス」についても、早晩メスを入れる可能性が高い。
──では通信キャリアはどう戦っていけばいいのでしょうか。
『土管屋』にならないためのカギは、非通信分野の事業で新しい付加価値をつくり出せるかだ。通信キャリアには潤沢な資金があり、優秀な人材もいる。足りないのは経営者の能力と覚悟だ。
その点で、ビジョン・ファンドで大胆な投資を行っているソフトバンクグループは、はるかに先を行く。楽天も新しいキャリアのあり方を示す役割を担っていくだろう。NTTドコモとKDDIは、あらゆる点で発想を転換できなければ、先細る一方だ。
規制業種で荒波にもまれていない携帯キャリアが、流通業のような、さらに荒波がある業界に進出しても勝ち目はない。規制に守られていて携帯電話業界より非効率な業界はまだ残っている。それは金融、とくに保険だ。資本力と人材力でこじ開けていくとチャンスがあるはずだし、政府や国民から見ても、規制業種に風穴が開くのはウェルカムな話。テクノロジーを生かした保険業をやるべきだ。
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