読み返したい!『カウントダウン・メルトダウン(上、下)』
原発は1つなのに、政府、保安院、東電と、複数の組織が別々に会見し、しかも内容が一致しない。米国が自国民に対し原発から半径80km外への退避を勧告したという情報が流れる一方、日本政府は避難の基準を半径20~30kmで検討……。
あれだけの災害と事故である。右往左往するのは仕方がない。ただ、国家として、どの組織や個人が、どのようなルールに基づいて(または無視して)、何をしたのかを知りたくて、数年前に手に取ったのが『カウントダウン・メルトダウン』である。極限的な状況で人はどのように感じ、行動するのかという疑問にも、約30年前の著作『通貨烈烈』同様、緻密な取材と構成力で答えてくれる。多くの人にとって、プラザ合意の内幕は遠い世界の話だが、震災は実体験。得るものが多いと思う。
評者は、当時の政府の混乱が民主党政権ゆえ、とは思わない。日本的な組織運営では、個人の権限と責任を明確にしないことが多く、その欠点が非常時に現出した。
トップの仕事は決断だが、日本では決定者を曖昧にする。例えば、イラク戦争を始めたのはブッシュだが、太平洋戦争は誰が始めたのか。結局、この国は戦前から何も変わっていないようだ。組織のガバナンスのあり方を考えるために、再読したい。
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