2018年11月24日、台湾では統一地方選挙が行われ、与党民進党が惨敗した。台湾と中国を別個の存在として維持していこうという民進党が敗れ、中国との関係を重視する国民党が大勝したことで、台湾は中国に急接近するのではないかという見方も一部にはある。
総統退任後も台湾の民主主義をよりいっそう深化させるために発言を続けてきたのが李登輝。それゆえ、この選挙結果にさぞ落胆しているかと思いきや実は非常に楽観的だ。というのも、李登輝の頭のなかには「ターンパイク理論」つまり「まわり道こそ重要」という考えた方があるからだ。
料金所を経由して高速道路を使ったほうがいい
農業経済の学者出身らしい李登輝ならではの表現だが、「ターンパイク理論」とは、目的地に向かうのに、単に直線距離が短い道よりも、ターンパイク、つまり料金所を通って高速道路を利用したほうが、より早く目的地に到着できるという考え方である。
李登輝はこの理論を念頭に、米コーネル大学で博士論文を書いた。戦後、農業に依存していた台湾経済は、一直線に重工業への道を歩むのではなく、まずは農作物の輸出によって外貨を稼ぎ、それを資本として軽工業から重工業化へと転換していくべきという主張だ。
一見、まわり道のように見える。しかし、そうではない。農業も不十分な状態で工業化を進め、両方を維持しようとすれば資本不足により共倒れするリスクがあった。この博士論文がときの蒋経国総統の目にとまり、学者だった李登輝が、政治の世界に踏み込むきっかけとなる。
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