岐阜県高山市は2005年、周辺の9つの町村と合併した、人口約8万8000人の街だ。市の中心部付近は「重要伝統的建造物群保存地区」になっている。古い町並みや良質な温泉で有名な奥飛騨温泉郷、世界遺産にも登録された合掌造り集落のある白川郷を擁する観光都市だ。
実はこの街は、かなり古くから積極的に外国人観光客を呼び込む「仕掛け」をつくってきた。1989年、「松本・高山・金沢国際観光ルート整備推進協議会」を発足させ、東京、京都、大阪というゴールデンルート以外でも日本の歴史的、文化的な魅力を楽しんでもらおうと、自治体の枠を超え欧米人向け観光ルートをつくった。高山市だけで外国人を呼ぼうとはせずに、長野県松本市や石川県金沢市と連携して、広域での魅力を発信しようとしたのだ。この試みはとくに欧米人の関心を呼んだ。現在では日本に11ある広域観光周遊ルートの1つ、「昇龍道」として国土交通省に認定されている。
具体的に高山市が取り組んだのが、「街のバリアフリー化」だ。エリア内の高低差をなくし、体の不自由な人でも使用できる公衆トイレを設置。さらに「言語のバリアフリー化」も進めた。高山市のツーリスト情報ページを開くと驚くのが、英語、中国語、イタリア語、ロシア語、アラビア語に至るまで11カ国語に翻訳されていることだ。パンフレット、歩行者標識や誘導案内なども多言語化。ボランティア通訳の登録者は百数十名、ホストファミリーに登録する家も約100軒に上る。
さらにはスマートフォンやタブレット対応、無料Wi-Fiの設置も促進。高山市をまったく知らない外国人旅行者が訪れても、何一つ不自由ないといえるだろう。
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