【著者プロフィル】きたの・ゆいが/博報堂からボストン コンサルティング グループを経て、2016年ワンキャリアに参画。最高戦略責任者を務める。著書に『このまま今の会社にいてもいいのか?と一度でも思ったら読む転職の思考法』(ダイヤモンド社)。
天才について書かれた本を読むことにはもどかしさが伴う。天才とは何かがわかるという理解と引き換えに、自分が天才ではないという事実も受け入れなければならないからだ。
しかし本書はセンセーショナルなタイトルとはうらはらに、このセンシティブな部分のさばき方が非常にうまい。
この世界は天才と秀才と凡人で出来ているという語り口から始まるのだが、その3つの「才」を、「創造性」「再現性」「共感性」という才能に置換し、最終的には誰の中にも潜む1つの成分として着地させていくのだ。
著者は、「凡人が、天才を殺すことがある理由。」のブログ記事を昨年2月に公開。その深い洞察で、公開後に大きな話題を呼んだ。本書はその論考をさらに深め、誰もが才能を活かせる状態を作るためには何が必要であるかを、ストーリー形式で解説した一冊である。
天才は創造性を、秀才は再現性を、凡人は共感性を武器にする。そして、この3者間に、感情のジャンケン構造のようなものがあるということが、厄介な点なのだ。
天才は秀才に対して「興味がない」が、凡人に対しては意外にも「理解してほしい」と思っている。反対に、凡人から天才への気持ちは冷たいもので、「理解できないから排斥しよう」とし、秀才を「天才だと思い込む」。さらに秀才は、天才に「妬みと憧れの相反する感情」を抱き、凡人を「心の中で見下す」。
この構造において、3者間にコミュニケーションの断絶が起きてしまった時、全員に悲劇が訪れる。
この記事は会員限定です
残り 763文字

