【著者プロフィル】Douglas Murray/新進気鋭の英国人ジャーナリスト。英国の代表的な雑誌の1つ『スペクテーター』のアソシエートエディター。サンデー・タイムズ紙や米ウォールストリート・ジャーナル紙へも寄稿多数。欧州議会、ホワイトハウスでも講演を行った実績がある。
本書は、西洋社会の行く末を悲観的に予測してベストセラーとなった『The Strange Death of Europe』の邦訳である。
ここには、いま西洋社会が直面する「奇妙な死」について書かれている。 ここでいう「死」には、2つの意味が込められている。
1つは、欧州が大量の移民を受け入れたことにより、各地で西洋固有の文化的・歴史的な風景が失われ、いくつかの町や都市は、まるで中東やアフリカのような風景になってしまったこと。
もう1つが、寛容を旨とするリベラリズム(自由主義)や多文化主義の理念の下に、基本的人権、法の支配、言論の自由といった中核となる価値観を共有しない人々を招き入れることによって、西洋的な価値観が失われてしまうことである。
つまり近い将来、われわれがイメージする西洋という文化そのものがなくなってしまうのである。そして、こうした奇妙な死をもたらしているのは、ほかならぬ欧州のリーダー達なのだという。
欧州で移民受け入れの恩恵を受けたのは、低賃金労働力のうまみを享受しながら、自らは移民の少ない安全な地域に居住し、グローバルに活動する富裕層や、多文化主義を理想とする知識人である。
他方、その負の側面を一手に引き受けてきたのが、移民の流入により賃金の低下や失業を余儀なくされ、貧しい地域に居住せざるをえず、治安の悪化やアイデンティティーの危機にさらされる中低所得層である。
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