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ネット世論対策に見る「対日関係改善」への意欲 尖閣のために死ねるか

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  • 富坂 聰 ジャーナリスト・拓殖大学教授
両国関係の雪解けを感じさせた昨年10月の日中首脳会談。中国は対日関係の改善へ動き出した(読売新聞/アフロ)

何とも懐かしいフレーズを久しぶりに目にした。

「哪怕華夏遍地墳」。意味は、「たとえ中華の土地をすべて墓にしても……」である。日本に対して使う場合には「たとえ中国全土が国民の墓で埋まったとしても、日本人を最後の一人まで殺す」という決意を示すことになる。

私が初めてこのスローガンを目にしたのは、1980年代前半のことである。

日中国交正常化後のハネムーン期で、今から考えても中国人の対日感情はよかった。だが、まだ戦争の記憶を鮮明に残している人も生きており、言葉を一つ間違えると日本の過去の行いを猛然と責められた。私自身も面と向かって批判されたことが少なからずあった。

そうした経験の中で、ごくまれに過激な人間が口にしたのが、冒頭のフレーズだった。

昨年10月、7年ぶりに中国を公式訪問した安倍晋三首相は、従来にはない温かい雰囲気の中で迎えられた。首脳会談では、習近平国家主席の表情も緩み、極限まで冷え込んだ日中関係にも、やっと春が訪れることを予感させた。

しかし同じ頃、中国のインターネットに次々に書き込まれる「反日用語」を削除するため、サイト管理者が大車輪で動いていたことはあまり知られていない。

前述した「哪怕……」は、まさにそこにあふれていた言葉だ。

中国共産党は一定の距離を保ちつつも、対日関係の改善に動き出したと思われる。その兆しは、ともすれば反日言論があふれがちなネット世論への対応にものぞいていたのだ。

それは、反日言論を国民から隠すために削除を繰り返すといった直接的な方法だけではない。反日スローガンを正面から否定する議論を容認するといった間接的な手法もとっていた。共産党の手によらず、まるで国民が国民を諭すような手法でそれは行われたのだ。

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