2019年1月8日、国内製薬首位の武田薬品工業が欧州製薬大手シャイアーをのみ込む。6.6兆円を投じた巨額買収で、売上高3.3兆円に及ぶ世界7位、日本初のメガファーマ(巨大製薬企業)が誕生することになる。
この巨額買収が国内業界再編の契機となる可能性がある。「大手を中心に製薬業界が動く」と予測する声は少なくない。
業界では05~07年に激しい再編劇が起きた。医薬品売り上げ2位、3位のアステラス製薬、第一三共もその渦中で生まれた。合併により規模で武田に接近したライバル大手だが、買収で巨大化する武田に再び置いてきぼりを食う。その焦りが再編第2幕を誘引する一因になる。

縮小する国内市場 膨らむ研究開発負担
「ウェバーだから(思い切った買収が)できる」(国内製薬大手幹部)。巨額買収の背景に、クリストフ・ウェバー社長など外国人主導の経営体制という武田固有の事情はあるものの、構造要因から縮小する日本市場に頼るリスクの高まりも買収劇を促したもう一つのマグマだ。これは、日本の製薬会社に共通する課題である。
18年には薬価制度の抜本改革という名の“劇薬”を製薬業界は国から飲まされた。その一例が新薬創出等加算制度の改定。価格を維持できる新薬認定の条件が厳しくなり、製薬会社の「うまみ」が大きく削られた。
背景には少子高齢化などに伴う医療費の構造的増加がある。医療費抑制は国の至上命令で、この流れにはあらがいがたい。
画期的な新薬を出し続けるのが製薬企業の唯一の生き残る道だが、これがまた難しい。
残された探索テーマは認知症など難題ばかり。創薬の成功確率は下がり続ける。今の創薬トレンドのバイオ・抗体・再生医療などは昔の低分子合成とは比較にならないコストがかかる。発売にこぎ着けるまでの研究開発費は膨張している。「製薬会社首脳が集まればこの問題が話題になる」と関係者は言う。
中外製薬を業界大手に成長させた永山治会長は、世界的な事業展開をするには「(年間)5000億円の研究開発費はないとダメ」というのが持論。武田のシャイアー買収にも、規模を拡大し研究開発投資を拡充するという狙いが明白にある。
国内市場だけで生きていく選択肢も、規模の小さな中堅以下にはある。ただアステラスなど国内大手にこの選択肢はない。成長確保、バイオなど不足する創薬技術の獲得の両面で、海外企業のM&Aや提携が避けて通れないテーマだ。今後の業界再編第2幕は国境を超え、海外各社を巻き込む形となるだろう。
武田の巨額買収が成功するかどうかは見えないが、国内製薬業界には大きな再編のうねりが起きる。






















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