玉城デニー氏が佐喜真淳氏に大差で勝利した2018年9月の沖縄県知事選挙では、SNS上で「#デニってる」というハッシュタグが登場した。沖縄の多くの若者が使っていたのだ。
この選挙では、前回(14年)と大きく違う点が二つあった。一つは、イデオロギーの対立構造が希薄だったことだ。
前回は、故・翁長雄志氏側の革新系「オール沖縄」(辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議)と、当時現職の仲井眞弘多氏を推す保守系市長連合「チーム沖縄」(沖縄の振興を考える保守系市長の会)の事実上の一騎打ちだった。
このときは、政党色の強いイデオロギーが前面に出ていた。従来の「米軍基地反対」「沖縄振興一括交付金による経済振興」という対立軸が存在した。
今回の知事選では、辺野古基地の整備が進んでいる現状を見て、多くの県民は白けてしまったかのようだ。支援政党の枠組みは依然として強固ながら、県民の政党への帰属熱は冷めた感がある。
もう一つは、世代間の考え方の違いが鮮明になったことだ。沖縄県知事選の争点はずっと基地負担の軽減と国からの振興予算の獲得だった。沖縄にとって日本政府と米国政府との駆け引きが重要な争点であり続けた。
ところが、そうした「保革の構図」とは違う受け止め方をする若者が増えてきた。振興予算と基地という「アメとムチ」をめぐる日米政府との駆け引きを冷静に受け止め、沖縄独自のアイデンティティを探ろうとする機運が高まったのだ。
SNSの普及は、彼らの見方や意見を発信する独自のネットワークコミュニティを形成した。玉城氏当選の背景には、玉城陣営のほうが沖縄の多様性をより認容しようとする姿勢があったことが挙げられる。従来の構図だけでは、選挙をとらえることができなくなっているのだ。
この記事は有料会員限定です
残り 628文字
