東京医科大学をめぐる事件を受け、医学部入試のあり方について関心が高まっている。全80大学で作る全国医学部長病院長会議の山下英俊会長に、医学教育をめぐる課題と展望を聞いた。
──東京医大事件をどう受け止めていますか。
医療は公共財なので、基本的に平等に入試をするのは当然だ。ただ実際問題として、人格の優れた、成績もいい、意欲も高い人をどう選ぶか。
病院長会議では医学教育のグランドデザイン作りや医学教育のクオリティコントロールを進めている。東京医大のような残念なことが起きるのはたいへん困ったことだが、われわれとしては適正な入試で入った人たちをどう教育していくかが一番の眼目。そのための体制作りを今後も進めていく。
──相変わらず医学部受験熱は高い状況が続いています。
テストでいい点数をとることは大事だが、われわれは人格や倫理観も重視している。限られた時間の中で何百人もの受験者をどう評価していくのか、それはこれからの問題だ。
──国際化の時代、英語力も問われています。
確かに英語の論文を山のように読まなければいけない時代だ。英語がまったく理解できない人は結構つらい。しかし、日本の医学部は、日本人の患者さんをきちんと診られる人を作るのが基本。医学教育もどんどん英語にすればいい、という話ではない。
PISA(OECD〈経済協力開発機構〉の学習到達度調査)でも、日本の中高生の論理性が落ちているという結果が出ている。これは非常に危機的な状況だ。英語はあくまで道具であり、やはり国語をきちんと勉強する必要がある。いろんな所見を論理的にインテグレートして、病態を考えて診断する。それができなければ、医者としては致命的だ。
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