2017年6月、フランスのパリ13区にベンチャー企業の巨大な支援施設、「Station F(スタシオンエフ)」がお目見えした。東京ドーム0.7個分の広大な敷地にあった貨物列車の駅舎に改修が施され、IT系を中心とする多くのスタートアップ企業や投資家が集結する一大拠点に生まれ変わった。
同施設を立ち上げたのは、フランスで十指に入る資産家として知られるグザビエ・ニエル氏。約2.5億ユーロの私財を投じたという。
ニエル氏は「フランスの孫正義」とも称される人物だ。通信会社イリアッドの創業者で、インターネットプロバイダの子会社「フリー」を通じ、ネット、テレビ、電話の格安パッケージサービスに対応したセットトップボックス「フリーボックス」を02年に投入したのが大当たり。ブロードバンドを含む仏通信市場の主役の座へ一気に駆け上がった。
一方で、「投資家」の顔も持つ。通信事業で築き上げた100億ユーロ近いとされる巨額の富を活用し、自ら創設したベンチャーキャピタルを通じてベンチャー企業へ投資。起業家育成に傾注する。これまでに資金をつぎ込んだベンチャー企業の数は200を超す。「ニエル氏は革新を伝える大使の役割を担っている」。ベンチャー支援を手掛ける仏ウィーアー・パシフィックのアドリアン・ピション駐日代表はそう評価する。
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