プリファード・ネットワークスやユーグレナなど数々の有力ベンチャー企業を輩出してきた東京大学。その起業エコシステムの仕掛け人である東大の各務茂夫教授に、日本のベンチャー市場の課題と展望を聞いた。
──企業による投資が増え、ベンチャー企業の資金調達が活況です。
大きいのは企業側の意識の変化だ。昨年相次いだ品質問題をはじめ、この数年間「あの大企業がどうして」というようなことがたくさん起きた。それに加えて、日本の年金基金が株式投資に向かい、コーポレートガバナンスやROE(自己資本利益率)8%以上といった圧力も大企業に向けられている。
ここに来て、大企業は研究開発で自前主義を廃し、本当の意味でベンチャー企業との連携を含めたオープンイノベーションを進めて果実を手にしなければならない、という意識に変わったようだ。
ベンチャー投資なしに大企業は生き残れない
かつて大企業がベンチャー企業を見る目というのは、対等ではなく“上から目線”だった。ただ今はそうではなくなってきている。ベンチャー企業のエッジの利いた事業を取り込まないかぎり、生き残れないと考えている。
プリファード・ネットワークスが、トヨタ自動車から100億円超の資金を得る。そうした動きが一般化しつつある。
──日本の大学の中に、世界で通用する技術はありますか。
大学にある技術は基礎研究に重きを置いており、一般的に足が長い。ただその中にこそ本質的に世の中を変えるようなイノベーションが眠っている。東大の池田菊苗博士が「うま味」を発見し、味の素というベンチャー企業が生まれた。そんな技術は数多くある。
ただ学術的な成果というのは、必ずしもすぐに事業化のにおいがしない。新しい技術が市場の論理から見てどういうバリューに変わるのか、という問いかけをつねにしなければならないが、研究者だけでは難しい。経営者目線を持つ人材も育成しないといけない。
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