
「被害額が10万円なのに、裁判に訴えると弁護士費用が30万円かかる。おカネの問題だけで被害者を救えないのはおかしいのでは」。弁護士でもあるCEOの伊澤文平氏(30)のそんな疑問が起業のきっかけだった。
ビジネスモデルはシンプル。詐欺や事故などの被害に遭った人々をウェブサイト「enjin」で募り、それを引き受ける弁護士とマッチングする。現在は無料だが、将来、広告料名目で弁護士に課金したり、原告からシステム利用料を徴収したりすることを考えている。
日本では、集団訴訟という形態がなじみにくいと考えられてきた。しかし、伊澤氏は「水俣病やアスベスト訴訟など国相手の訴訟のほか、ベネッセコーポレーションの個人情報流出訴訟などの前例もある。日本人の群集心理は二項対立を好み、集団訴訟はむしろ日本にマッチする」と話す。
消費者金融の過払い金返還訴訟に続き、昨今はブラック企業を相手取った残業代請求訴訟の広がりが期待されている。だが、「集団訴訟を手掛ける弁護団はまだ限られている」と課題も残る。同社の調べでは、集団化できそうな事件の個人被害総額は16兆円。伊澤氏は「被害者の声なき声のインフラになりたい」と意気込んでいる。
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