化学メーカー大手、昭和電工の業績が急回復している。最終利益は前2017年12月期に前期比172%増の334億円、今期は同154%増の850億円に急伸する見込み。まさに倍々の伸びだ。
総合化学メーカーの同社は、石油化学、化学品からアルミニウム、ハードディスク記録媒体まで幅広く手掛ける。その中で牽引役となっているのが、黒鉛電極だ。

黒鉛電極は電炉で鉄スクラップを溶かすために使用される。これまで高炉を中心とする中国鉄鋼メーカーの過剰生産で電炉の操業度が世界的に低下していたが、中国で粗悪な鉄鋼生産への規制が厳しくなり、事情環境が大きく変わった。
電炉は高炉に比べ、消費エネルギーや二酸化炭素の排出量が少ない。環境汚染が深刻な中国は、製鉄における電炉の比率を16年の5%から20年には15%まで引き上げようとしているとされる。こうした電炉の操業度向上により、消耗品である黒鉛電極の需要が一気に拡大した。
黒鉛電極の増産は簡単なことではない。「ウルトラハイパワー」(UHP)と呼ばれる大型黒鉛電極を製造できるのは、実質的には昭和電工と東海カーボン、米国GTIの3社しかない。
以前はドイツのSGL GEも黒鉛電極を手掛けていたが、同社を買収したのがほかならぬ昭和電工だ。16年10月の買収発表当時は、黒鉛電極を手掛ける全社が事業赤字という異常事態。「なぜ買収するのか」。否定的な評価が多い中で、昭和電工は買収を断行した。
結果的にその“逆張り買収”が当たった。昭和電工は買収で黒鉛電極の世界トップに浮上。競争法の関係でSGL GE社の米国事業をライバルの東海カーボンに譲渡したが、市況好転の恩恵を最大限に受けた。
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