武田薬品工業によるアイルランドの製薬大手シャイアーの買収については、約7兆円という莫大な買収金額が耳目を集めている。だが世界を見渡すと、兆円単位のM&A(企業の合併・買収)は決して珍しくない。
記事下図のように、医療用医薬品の売上高で世界上位に名を連ねる企業は相次ぐ買収や合併によって巨大化してきた。先鞭をつけたのは米ファイザーで、成長のために有力企業を丸ごとのみ込む手法は「ファイザーモデル」と呼ばれる。
なぜ製薬業界で巨額のM&Aが繰り返されるのか。背景には画期的な新薬開発の難しさがある。
一つの薬に数百億円以上、成功確率は3万分の1
一つの新薬が基礎研究や臨床試験などを経て発売されるまでにかかる時間は10〜20年、費用は数百億円、高いものでは1000億円を超えるといわれる。しかも成功確率は3万分の1。巨額の費用を投じたからといって、必ず新薬が生まれるという保証はない。
そこで各社は有望な新薬やパイプライン(新薬候補)を持つ企業を買収して、自社のパイプラインを充実させる。さらに売り上げ規模を拡大することによって研究開発費を積み増し、新薬の開発力の向上につなげていくのだ。
これまで主流だった化学合成によってつくる低分子医薬品は「すでに開発し尽くされた」という指摘もあり、バイオ医薬など従来とは異なる技術を手に入れるために買収に動くケースも増えている。
だがファイザーモデルには限界も見えてきている。製薬業界では、世界での売上高が1000億円を超える薬を「ブロックバスター」と呼ぶが、規模が大きくなればなるほど、ブロックバスターを一つ開発したところで、成長を牽引するほどのインパクトはなくなる。
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