「多くの日本企業はこれまで、契約社員やパート、派遣など非正社員を雇用の調整弁として活用することで、業務の繁閑に対応してきた」。ある製造業大手の人事部長はそう話す。
しかし今後、無期転換ルールの開始や有期雇用派遣の期間制限の到来でそれは難しくなる。そのため、「解雇の金銭解決制度」の導入を急ぐべきだと人事部長は力説する。「調整弁の機能を失わせるからには、別の『出口』が欠かせないはずだ」(同)。
解雇のトラブルを金銭で解決するこの制度は、2015年に政府の規制改革会議が導入を提言し、「日本再興戦略」に検討事項として盛り込まれた。これを受け同年秋には厚生労働省が有識者検討会を設置。裁判で不当解雇と判断された場合に、職場復帰ではなく金銭の支払いで紛争を解決するという制度の是非について、1年8カ月にわたって議論してきた。
報告書は昨年5月末にまとめられた。解雇の金銭解決制度の必要性について「一定程度認められる」としながらも、具体的な内容は公労使から成る労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で「さらに検討を深めていくことが適当」と先送りされた。
検討会が示した新たな制度案では、労働者が職場復帰を求めなくても、企業に対して解決金を請求する権利を与えるとされた。また、解決金の上限と下限を設けるなど、具体的な水準を設定することを適切とした。他方、企業の側から金銭解決を申し立てることについては、今後の検討課題として見送られた。
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