副業がジワリと広がっている。政府は1月末に副業や兼業を事実上解禁。大企業の中にも公に認めるところが増えてきた。
ソフトバンクもその1社だ。2017年11月に就業規則を改定し、副業を容認。人事本部の石田恵一氏は、「クリエーティブ、イノベーティブな風土の醸成を目指す働き方改革」の一環と説明する。副業で「社内の既存知」と「社外の既存知」とを掛け合わせ、新しい発想を生み出す狙いがある。
昨年末までの2カ月間で、すでに127件を承認。そのうちの1人が、鶴長鎮一氏(47)だ。エンジニアとして通信インフラの企画・設計や社内ベンチャーの支援に携わる傍ら、副業として「ライター」の顔も持つ。
実は、鶴長氏は会社が公に副業を解禁する前から、会社側に申請したうえでライター業を手掛けてきた。「最初の本を書き始めたのは30歳の頃。もう17年前になりますね」と笑う。
きっかけは、外部の勉強会に参加したときに書籍の編集者とつながりができたこと。以来、本業での知識や経験も生かし、すでに技術系や理工系の書籍を10冊ほど出してきた。技術系の専門雑誌で長年、連載も持っている。
書くのは主に平日の終業後の午後7時以降か週末。多少の印税は入るが、「時給換算すればファストフード店のバイトくらい」(鶴長氏)。それでもライターを続ける理由について、「コネクション(人脈)ができるのが大きい。書くことで、社内では得られない交流が広がる」(鶴長氏)という。
社外でのつながりが、本業でも刺激になっているという。「ソフトバンクでは、オープンソースを使うにしても、以前は(すぐ使うのに)抵抗があった。でも外では、昨日出たばかりのものをすぐ使っている。そのサイクルはすごく参考になった」。外の風が鶴長氏の新たな考え方に結び付いている。
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