国内のファッショントレンドを形成してきた、と言っても過言ではない百貨店。楽天やゾゾタウンが牽引するファッションEC市場では後塵を拝するが、そもそもEC市場で戦えるのか。
百貨店大手の高島屋は同業他社に先駆けて、1996年にEC事業を立ち上げた。当初は元来の得意分野である衣料商品にも注力していたが、アパレルECとの競争では劣勢に立たされていた。
そこで、2013年から「百貨店に期待される上質の商品やサービスを打ち出せる分野」(高島屋クロスメディア事業部の佐久間良枝部長)として、中元・歳暮など贈答品の展開に軸足を置いた。
ネット専門バイヤー6人を配置し、独自商品の開発を強化。米子高島屋の「大山ハム」など国内17店舗で扱っているご当地商品も訴求した。おせち料理など自宅用の需要を狙った商品も拡張。こうした集中戦略が奏功し、EC事業は2ケタ増収が継続。今17年度も140億円(全社売上高に占める比率は1.5%)の売上高を見込む。
パルコのシンプルな方式慣例が事業拡大のネック
大丸と松坂屋を擁するJ.フロント リテイリング傘下で、ファッションビルを運営するパルコは、ショップ店員のブログから商品が買える「カエルパルコ」を展開。システムは実にシンプルだ。
全国約300テナントの各店員が、パルコの提供する「ショップブログ」に商品紹介などを書き込む。注文があると、テナントに連絡が入り、店員が商品を発送するのだ。売り上げはテナントの実績として加算される。テナントからはネット利用料などの手数料を徴収しない。
パルコでは、EC事業はあくまでリアル店舗の補完との位置づけ。「店頭在庫にこだわっている」とパルコの林直孝執行役が強調するように、EC専用商品を持つのではなく、テナント店頭にある商品を販売する。リアル店舗の混雑ピークは18時台だが、カエルパルコは昼の12時台がピークなので繁忙時が重複しない。各店舗が位置する県の外からの注文が9割近くに上り、テナントはエリア外の消費者を取り込むこともできる。
同社はカエルパルコの今17年度取扱高が前年度比2倍になると見込む。今後に向けても、配送代行センター設置による店員の作業負担軽減や、テナント自社ECの商品データと店頭在庫データとの連係など機能強化を模索している。
高島屋やパルコのように健闘している企業はあるものの、百貨店のEC事業は全般的に厳しい状況だ。日本百貨店協会の調べでは、15年度のネット販売比率は1%に達していない。「当社はうまくいっていない」と明言する百貨店もある。
百貨店はネット専用の物流倉庫を持たないため、基本的に店頭で空いている時間に店員が発送作業をする。丁寧に包装し、内容確認を入念に行うこともあり、「注文から消費者の手元に届くまで、5日かかる場合もある」(業界関係者)。また百貨店では、商品の売り上げと同時に仕入れが計上される「消化仕入れ」という取引形態が慣例となっているなどの要因で、単品ごとの細やかな在庫管理ができていないのが実情だ。
百貨店がEC事業を拡大していくのも、一筋縄ではいかなさそうだ。






















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