有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #マネー潮流

国際金融規制の及ばないところ 規制合意の裏で膨らむリスク

3分で読める 有料会員限定
  • 中空 麻奈 かんぽ生命保険 エグゼクティブ・フェロー
なかぞら・まな●1991年慶応義塾大学経済学部卒業、野村総合研究所に入社。97年野村アセットマネジメントでクレジットアナリストに。社債や国債を分析。モルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券を経て、2008年10月からBNPパリバ証券クレジット調査部長。11年から現職。(撮影:尾形文繁)

2017年12月、バーゼル3の最終形について、ようやく合意がなされた。バーゼル3とは08年の金融危機を受けての銀行規制改革だ。16年12月の合意を目指していたが、1年越しの決着である。さまざまな規定があるが、まず注目のポイントとして、三つ指摘したい。

第一に適用時期である。適用開始時期は19年から22年1月1日へ3年の先送りが決定した。次に述べるアウトプットフロアについての適用完了は27年でよいとされるなど時間的猶予が確保された。

第二にアウトプットフロア(資本フロア)が72.5%に決まったことである。アウトプットフロアとは資産のリスク量に対して必要とされる資本の下限。リスクの計測に内部のモデルを使っている銀行に対しても、共通の基準である標準的手法に基づく資本の下限を設けようというものだ。

これは今回の合意が遅れた背景の一つで、日本や欧州が望む70%と米国が主張する80〜75%の間で攻防が続いていた。米国では標準的手法によるフロアを100%で実施している。一方、日欧の銀行は企業向け融資や住宅ローンなど内部モデルではリスクウエート(掛け目)の小さく済む先が多い点が、立場の違いを生んでいた。

第三に、標準的手法を用い、かつ、資産の評価に外部格付けを参照する場合について、市場リスクのリスクウエートが見直され、よりきめ細かくなったことである。

たとえば、金融機関向け投融資のうち、BBBプラスからBマイナスまでをすべて100%としていたのを、BBBは50%、BB以下は100%と区別した。住宅ローンも、従来一律35%としていた扱いを、LTV(物件の価値に対する負債比率)によって対応を変えるようにする。さらに、株式、劣後債も、従前100%だったリスクウエートが未上場株400%、その他株250%、劣後債150%となった。TLAC債(グローバル金融システムに重要な影響を及ぼす銀行〈G-SIBs〉が発行し、平常時は債券だが、破綻に瀕するとその投資家が損失を負担する)はこれから投資家層を広げなければならない商品だが、150%と、厳しい結果になった。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数