サウジアラビアは、歳入の大半を石油に依存する経済だ。そのシステムは持続可能でなく、いずれ石油依存から脱却しなければならないとの認識は、古くからサウジの政治指導者たちに共有されていた。けれども、ぬるま湯体質の中、改革は掛け声倒れに終わってきた。
だが、2015年、アブダッラー国王が崩御し、異腹の弟サルマーン皇太子が国王に就くと、状況が変わり始める。新国王は矢継ぎ早に新しい政策を打ち出し、実の息子で当時弱冠30歳のムハンマド・ビン・サルマーン(以下ムハンマド)王子を推進役に抜擢した。
国王は彼を国防相に据えると、多くの政府委員会を政治安全保障問題会議と経済開発問題会議に集約、後者の議長も彼に任せ、さらに国営石油会社・サウジアラムコの最高評議会議長の座にも就けた。つまり、ムハンマド王子はサウジの軍事・経済・エネルギーを握る事実上の最高責任者となったわけだ。
ムハンマド王子は16年4月、脱石油依存のための「サウジ・ビジョン2030」を発表し、30年までにサウジを投資国へ変貌させるとした。失業率を下げ、再生可能エネルギーを導入し、海外直接投資を拡大、民営化を推進し、非石油収入を増加させるなどの具体的目標が掲げられた。その後、20年までの数値目標を示した「国家変容計画」を発表、この二つが改革の方向性を示す基本となっている。
改革の目玉となるのがアラムコの株式新規公開(IPO)と公的投資基金(PIF)だ。アラムコの時価総額は2兆ドルともされ、上場がうわさされるその5%でも、1000億ドル。世界の証券取引所が誘致合戦を繰り広げている。PIFはアラムコIPOを原資に世界有数のソブリン・ウェルス・ファンドへと成長することが見込まれ、投資立国を目指すサウジの中核機関と位置づけられている。
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