カラー紙面とスキャンダラスな報道で香港紙のあり方を変えた『アップル・デイリー』。中国の締め付けが強まる今、唯一、反中国共産党独裁・民主派支持を旗幟鮮明にしている。創業者であり経営を退いた今も親会社の壹伝媒グループ筆頭株主のジミー・ライ氏に香港と自らの将来を聞いた。
──『アップル・デイリー』の現状は。
中国の政治的制裁を受けている。2012年に梁振英が香港特区行政長官に就任して以降、中国の手口が明らかになった。中国とビジネスをしたければ中国に反対できないし、何も言えない。すなわち、われわれの媒体に広告を出さない。広告収入の60%を失った。
──壹伝媒は傘下の『壹週刊』など主要4誌を売却した。
広告が封殺され、紙媒体の凋落から毎週20万部超の発行部数が3万部以下に減った。毎年1億香港ドル(約15億円)以上の赤字を計上していた。
──本丸『アップル・デイリー』の大規模な人員整理にも着手した。
娯楽やスポーツ関連で社員の25%を契約制・外注にした。最終的には75%削減する。アップルの核心である政治報道だけは何としても守るためだ。
──それでも報道・言論の自由を守ろうとするのは、12歳だった1960年に大陸から着の身着のまま密航して香港に来た過去があるためか。
大陸での経験と共産党の体験は極めて大きい。あの日、国境を越えて初めて解放感に浸った。香港が与えてくれた自由がいかにかけがえのないものであるかわかったからだ。
──そのために、徒手空拳で築き上げた大手アパレル小売りチェーン「ジョルダーノ」を失った。
89年の天安門事件は中国人が中国人を撃ったものだ。徹底して反対すべきだと考え、中国の学生や香港市民を支援して、李鵬首相(当時)に向け『壹週刊』上で公開書簡を発表。これで大陸との関係が悪化、中国国内の店舗を閉鎖され手放さざるをえなくなった。
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