「今下期には収益の実力を上期の倍まで引き上げる」──新日鉄住金の榮敏治副社長は語る。
同社は今期、前期比72%増の3期ぶり経常増益を計画。上期は在庫評価益など一過性の利益計上もあるが、下期は“実力値”で大幅回復を見込む。「需要環境は好転し、生産すれば売れる状況だ」(榮氏)。
日本の鉄鋼業界は2015年度後半から16年度前半にかけて、中国の内需低迷と安値輸出による鋼材市況暴落の影響をモロに受け、業績が急悪化した。

だが、その後は鋼材市況が急回復に転じた。世界の粗鋼生産量の半分を占める中国が過剰生産能力の削減に本腰を入れたうえ、中国の内需が復活して鋼材輸出が減少したためだ。16年度下期の原料炭価格高騰も、製品の値上げでようやく吸収。日本の内需も自動車や建設向けに堅調で、業績回復が本格化してきている。
今期経常益2.4倍を計画するJFEホールディングスの岡田伸一副社長は、「鋼材内需の堅調はかなり長続きしそうだ」と話す。造船向け厚板やエネルギー関連の鋼管はなお弱めだが、製鋼工程ではすでにフル生産に近い状況という。
好況は周辺企業にも広がる。山陽特殊製鋼は車の軸受け鋼が伸び、通期利益増額の勢い。合金鉄の新日本電工はすでに収益を上方修正。日本精線は車用ステンレス鋼線が拡大し、収益再増額が濃厚だ。日鉄鉱業は銅価上昇に加え、鉄鋼原料の石灰石の需要が想定以上。阪和興業も鋼材や合金鉄市況反発を享受している。
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