大胆な制度改革や民間人登用で「霞が関最強の長官」とも称される金融庁の森信親長官。
その辣腕ぶりに安倍晋三首相をはじめ、官邸からの信任も厚く、特に菅義偉内閣官房長官と太いパイプを持つことは政府内でも有名だ。3年目の続投を固辞した森長官を官邸サイドが慰留したとも伝えられる。なぜ、森氏はここまで重用されるようになったのか。
カギは、株高を演出したアベノミクス初期の貢献にある。アベノミクスでは、日本銀行の黒田東彦総裁が巨額の国債を買い入れる異次元緩和を実行し、円安・株高を演出したことが最大の功績といわれる。実は森氏はそれに次ぐ実績を上げたことで官邸に知れ渡っている。
株高政策を支える森長官の「正論」
その舞台となったのは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革だった。公的年金の積立金を運用し資産総額145兆円を誇る世界最大の機関投資家であるGPIFは、2012年12月の第2次安倍政権発足とともに、運用改革への取り組みを本格化した。
GPIFを管轄する厚生労働省は当初、ドラスチックな改革に難色を示していた。そうした中、厚労省の年金局長とひざ詰めで議論し説得に当たったのが、当時、金融庁総括審議官の森氏だった。
14年10月末、GPIFは正式に新たな資産構成を公表。国内債券比率を下げ、国内外の株式や海外債券の比率を高めるものだが、10兆円単位の資金が国内株に流れ込むとあって、市場は熱狂した。株価は日銀のサプライズ緩和とのダブル効果で再び上昇に向かった。
安倍政権は余勢を駆って消費増税先送りを決め、その信を問うとして解散総選挙に踏み切り、大勝する。森氏は長期政権をもたらす株高の功労者になった。森氏の「正論」に基づく政策と株高がリンクしているからこそ、官邸も信頼を寄せている。
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