習近平─李克強体制の後継レースにおいて、揺るぎない地位を獲得していたと誰もが考えていた孫政才・前重慶市党委員会書記が、突然、表舞台から姿を消した。
異変が確認されたのは、7月14日から北京で開催されていた全国金融工作会議の会場でだった。
中国で“七皇”と呼ばれる最高指導部メンバーが壇上に顔をそろえ、それと向かい合うように前列に座った党幹部たちの中に、当然いるべき孫政才の姿が確認されなかったのである。
テレビ画面にはいつものように1950年代生まれ(“50后”)の政治局委員と“60后”のエース、胡春華・広東省党委書記らが熱心にメモを取る様子が映し出されたが、そこに孫政才の姿はなかった。映像に加工の跡はなく、そもそも孫政才がそこにいなかったことを思わせた。
その後、15日に孫政才が重慶市党委書記のポストに再任されず、後任に習近平の元部下である陳敏爾・貴州省党委書記を起用するという人事が発表された。翌日の香港各紙では孫政才が14日夜に重大な規律違反の疑いで連行されたと報じられ、24日には党中央規律検査委員会が取り調べを行っていると正式に発表した。
後継候補の落馬──。このことは、政治の季節を迎えた中南海はいまだ低気圧に覆われることが避けられない現実をあらためて人々に知らしめただろう。
薄熙来の影響残ったと孫政才に批判の矢
実は私はこの連載の中で、北京の党機関紙で政治を担当する記者の言葉を借りて、この孫政才をめぐる不穏な動きを伝えていた(4月15日号)。当時の北京の様子を振り返るために、その一文を引用しよう。
「(前略)ここにきて孫政才に対する評価は明らかに下降している。というのも、彼の地盤である重慶における評判がよくないからだ。中でも薄熙来の残した影響力の排除が十分ではないという厳しい言論が国内に目立ってきている」というものだ。
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