トランプ政権が今年1月、TPP(環太平洋経済連携協定)からの米国の「永久離脱」を決定したことは、協定自体の漂流を招くと懸念されていた。
しかし、5月21日にベトナムで行われた米国を除く加盟11カ国による閣僚会合の結果、「早期発効に向けた具体的な選択肢の検討を開始する」との声明が発表された。11カ国の中には米国の離脱を受けて慎重な姿勢を崩さない国もあるが、最終的に「協定の解体を回避する」という考えは共有された。11月に開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会合までに検討作業を終える方針である。
会合では、日本が「米国との橋渡し役を担う」など、米国との交渉の先頭に立つ姿勢を見せており、これが合意形成を後押ししたもようだ。日本政府も当初は米国抜きのTPPには後ろ向きだったが、米国内でも産業界などを中心にTPP待望論があることから、態度を急転換したと考えられる。
TPPの意義は、貿易取引の自由化を目指すFTA(自由貿易協定)となるのみならず、ルール作りを通じて加盟国間の自由で公正な競争環境を構築することにある。
TPPの基本合意の内容は、加盟国同士の複雑な利害バランスの上に成り立つ「ガラス細工」である一方で、「レベルの高い」共通ルールも盛り込まれている。
世界的に保護主義の動きが広がる中、一連の会合で日本政府が「自由貿易」のみならず、「レベルの高い共通ルールの構築」という旗標を、成長センターであるアジアで掲げた意味は大きい。
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