『ニュー・シネマ・パラダイス』というイタリア映画をご存知だろうか? 映画監督となった中年男性の主人公が映画に憧れた少年時代、そして青年時代の恋愛を振り返る。ジュゼッペ・トルナトーレ監督の自伝的作品だ。
この映画が日本で公開されたのは、バブル華やかなりし頃の1989年。この映画が記録した単館での興行成績は、現在に至るまで破られていない。筆者のいた大学のサークルのアンケートで、女子がこぞってこの作品を好きな映画に挙げていたことが頭をよぎる。
映画のシーンの多くは、シチリア島内陸部にある人口約2100人の村パラッツォ・アドリアーノで撮影された。
シチリア最大の都市パレルモからは、バスで約2時間30分。しかもバスは1日4本しかない。2015年秋にシチリアを訪れたときは訪問を断念せざるをえず、16年夏にリベンジを果たした。
パレルモからの道はアップダウンが続き、いささかレンタカーの運転に疲弊した頃、要塞のような山岳都市が出現した。パラッツォ・アドリアーノだ。
標高700メートルにあるこの村は、アルバニアとの縁が深い。15世紀、アルバニアの傭兵が駐屯したことが契機となった。その後、アルバニアがオスマントルコに襲撃されると、難民がこの村にも逃れてきた。村には今でもアルバニアの文化や習慣が残されているという。
村の中心にあるのが、映画でも再三登場するウンベルト1世広場。タイトルにもなった映画館『パラダイス座』はセットだったので現存しないが、それ以外の建物の様子は撮影から30年近く経った今でもほとんど変わっていない。
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