「人口減が進む日本では、経済成長は不可能だ」。こうした悲観論を真っ向から否定するのが、経済学者の吉川洋氏だ。日本経済の本当の課題は何か。
──日本の人口は今後、大幅な減少が見込まれています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計(中位推計)によれば、現在約1億2000万人の日本の人口は、2110年に4286万人まで減少するとされている。つまり、約100年で3分の1ほどになるということだ。
人口を一定に保つための合計特殊出生率は約2.0とされる。一組の男女がペアになって2人の子どもが生まれれば、親が亡くなっても子どもが2人残るという計算だ。
しかし日本の場合はすでに高齢化が進んでおり、若年女性の絶対数が少ない。出生率2.0を達成できても、人口減少は進んでいくということになる。人口減少は不可避の現象といえる。
少子高齢化は、すでに深刻な問題を引き起こしつつある。一つは社会保障の給付の増大に伴う財政の悪化だ。また、人口減が地方経済に与える打撃も大きい。
──人口が減少する日本では、国内市場の縮小が進み、経済成長が困難になりそうです。
その考えは間違いだ。私は決して人口減少を楽観視しているわけではない。経済成長と人口減少は別物なのだ。高度経済成長期には実質経済成長率が年平均で10%前後にも達したが、人口は毎年1%強ほどしか伸びていない。
労働生産性の向上が経済成長をもたらす
人口と経済成長を結び付けて考える人が持っているイメージは、一人ひとりがつるはしを持って道路工事をしている姿だろう。働き手が減れば、必然的に生産物が減ると考える。しかし先進国の経済成長は、イノベーションに伴う労働生産性の向上によってもたらされる。つるはしを持って道路工事をしているところに、ブルドーザーがやってくるようなものだ。
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