1960年、新京成線沿線の林野に切り拓かれた千葉県松戸市の常盤平団地。当時のサラリーマンのあこがれだったニュータウンも、ケヤキ並木が道を覆うトンネルのように大きく育った約半世紀の歳月を経て様変わりした。高度経済成長期に「花の団地族」と呼ばれた核家族は2DK中心という手狭な間取りのため、子供たちが流出し、老夫婦、さらに一人暮らしへと解体が進む。
入れ替わりに入居するのも民間アパートを借りることが難しい高齢者たちだ。住民約8400人の高齢化率は約30%。かつて子育ての話題に花を咲かせた近所付き合いは希薄になり、鉄のドアごしの空間に引きこもって孤立感を深める人も多い。そんな中で続発した孤独死をきっかけに住民たちは「まつど孤独死予防センター」を設立、孤独死、社会的孤立の問題を真剣に考え始めた。
2001年、滞納家賃の督促に訪れた都市基盤整備公団(現都市再生機構)職員が台所で白骨化した男性の遺体を発見した。家賃や光熱費は口座から自動引き落としされていたため、残高がなくなるまで3年間、誰も気づくことはなかった。さらに翌02年春、こたつに入ったままで死後3カ月になる50歳代の男性が見つかり、にわかに孤独死問題がクローズアップされた。
団地自治会と団地地区社会福祉協議会は「孤独死110番ネットワーク」を整備。住民らに、新聞や郵便物、洗濯もの、部屋の明かりといったシグナルに注意を払ってもらい、異常を感じたら役員を通じ、警察や消防の協力を求める早期発見の仕組みを立ち上げた。こうした取り組みが奏功し03年以降、死後3日以上放置されることはなくなった。部屋で弱って動けなくなっていた人を救助したこともある。
一人暮らし男性の社会的孤立が問題
それでも、単身世帯増加に伴う孤独死を防ぎ切ることはできない。ネットワークに通報があった03年の15件、04年の21件のうち、半数以上が死亡した。自治会長の中沢卓実さん(73)は、原因はその人の社会的孤立にあると見る。「高齢者、中年を問わず一人暮らしの男性が問題。会社一筋で、地域社会との関係も薄い」。02年に孤独死した男性の部屋には遺体発見時、カップ麺や酒が散乱していた。リストラで新たに配属された職場になじめず退職。妻子とは別居中。近所付き合いも絶え、部屋にこもり、きちんと食事も取らず、酒で気を紛らすうちに急死したが、気づく人もいない──。そんな状況が浮かび上がってくるという。
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