個人投資家による株式売買高は、今や7割超をネット経由が占める。ネット証券は営業員の強引な勧誘がないうえ、登録が簡単で手数料も安い。これから資産運用を本格的に始める50代にとっても有意な選択肢だろう。
しかし、ネット証券会社の経営は金融収益、つまり投資家に貸し付けた資金が生む金利によって支えられていることを知っておきたい。SBI証券、松井証券、マネックス証券などの決算を見ると、「ノンバンク化」したネット証券の姿が浮かび上がる。

最大手のSBI証券の2016年4〜6月期決算では売上高に相当する営業収益223億円のうち、構成比が最も大きかったのは金融収益の75億円余り。株式売買などの委託手数料は74億円台だった。SBI証券の貸借対照表には、6月末現在で4953億円もの信用取引貸付金がある。四半期で金利など約10億円の調達コストを支払っても、金融収支として65億円の黒字が残る。営業利益が102億円なので、金利収入さまさまといっていいだろう。
ほかのネット証券でも貸出金からの金利収入に大きく依存する構造は変わらず、マネックス証券、松井証券、カブドットコム証券、楽天証券のいずれも金利収入の貢献が営業黒字の維持に欠かせない。ネット証券は売買手数料で稼ぐ証券会社というよりも、金利で食べている金融企業なのである。
ネット証券会社にも事情はある。かつて最大の収益源だった株式の売買手数料は、相次ぐ値下げ競争の結果、利幅が薄くなってしまった。海外事業に手を出すネット証券もあるが、利益貢献には程遠い。業績拡大への数少ない選択肢が、信用取引を増やして貸出金を伸ばすことになっているのだ。
3〜4%の貸出金利
この現象は利用者にどのような影響を与えるのか。結論から言えば、軽い気持ちで信用取引に手を出してはいけない。
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