物言うファンドが、“寡黙”で知られてきたあの企業を突き動かした。
工作機械大手のファナックは2月16日、栃木県壬生町に大規模工場を新設するとともに、山梨本社の研究所を拡張すると発表した。総投資額は1300億円に上る。その数日前には、これまでメディアなどの取材に消極姿勢を貫いてきた稲葉善治社長が一部報道機関のインタビューに応じ、内部留保の活用策などについて持論を説明した。
ファナックの急変には伏線があった。これまでもソニーに音楽・映画事業の分離を、IHIに不動産部門の売却を迫ってきた米投資ファンドのサード・ポイント。2月18日時点で大量保有報告書は出されていないが、2月9日付の投資家向けレターでファナックへの投資を表明。自社株の買い増しなどを提案した。ファナックも「2月上旬に書簡が届いた」と認める。同社の対応はファンド側への回答とみられるが、「回答が早期に出たことがサプライズ」(ゴールドマン・サックス証券の諌山裕一郎アナリスト)だった。
サード・ポイントがファナックに狙いを定めたのは、同社が潤沢な現預金を抱えているからだ。営業利益率40%近くと驚異的な収益性を誇る一方、これまでかたくなに配当性向3割を維持してきた結果、現預金は8000億円超まで膨れ上がっている(2014年12月末時点)。ファナックがこの現預金で自社株を取得し、株式価値を高めることをサード・ポイントは求めた。
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