ハウス×ココイチで東南アジアを攻める 浦上博史 ハウス食品グループ本社 社長
ハウスの前身は1913年に浦上靖介が大阪で創業した「浦上商店」だ。当時は主に薬品を扱っていた。その後、63年に発売した「バーモントカレー」がヒットし、生産量の増加に伴い従業員や工場を拡充。ようやく、曲がりなりにも家内工業から企業へと生まれ変わった。
以来、カレーや健康食品を中心に、即席ラーメンの「うまかっちゃん」やスナック菓子の「とんがりコーン」、ミネラルウォーターの「六甲のおいしい水」など、顧客のニーズに合わせて事業を拡大してきた。企業規模の割に製品ラインナップは広かったと言える。
だが市場の成熟化が進み、それぞれの分野にトップ企業が誕生するようになったため、2003年ごろから事業の選択と集中に着手した。「うまかっちゃん」は全国展開から地域限定販売に切り替え、「六甲のおいしい水」はアサヒ飲料に譲渡。ニーズがあれば何でもやるという八方美人では、やっていけない。
選択と集中はコア事業が盤石だからこそできることだが、ハウスは「今のコア事業が将来もコア事業であり続けるだろう」という認識を変革する時期にある。きっかけの一つは東日本大震災だ。流通が混乱し、都心でも一時、店頭から食品が消えてしまった。そのとき、いち早く品ぞろえを回復したのがコンビニだ。以前はコンビニを利用していなかった主婦や高齢者が、「出来合いの食べ物も悪くない」と思い始めたのだろう。内食からコンビニ総菜などへ、食の外部化が進む引き金となった。カレールウなど家庭内調理を前提とする製品を多く扱うハウスにとっては逆風だ。
こうした中、従前のように顧客のニーズに応じて製品を開発しているだけでは生き残れない。ハウスの内側から新しい価値を創造していくため、原材料の調達から製品の販売に至るバリューチェーンをなるべく長く掌握する必要がある。そんなときにちょうど、壱番屋やギャバンとのご縁をいただいた。
カレーレストランを展開する壱番屋は消費者と直接の接点を持つため、新しい価値や提案の成果を検証する場を確保できる。海外展開についても、ルウの製造販売はハウス、レストランの展開は壱番屋というように、餅は餅屋で役割分担を明確化することにより、中国だけでなく東南アジア諸国にも“日式”カレー文化を広めていく。
ギャバンはマレーシア・ペナンにスパイス加工工場を持っているため、原料調達の面で相乗効果を生み出せる。ホテルやレストランとも強い結び付きがあり、子会社化を通してハウスが手薄だった業務用ビジネスを拡充したい。
新たなM&A(企業の合併・買収)について具体的な案件は今のところないが、中期計画の具現化に資すると判断すれば、国内でも海外でも積極的に取り組む。あらかじめ分野を決めるようなことはしない。
海外事業は基盤ができてきた。(20年の売上高海外比率20%は)チャレンジングな目標ではあるが、国内で培った知見を生かして達成したい。たとえば、中国でカレー以外に「ウコンの力」のような機能性飲料など、事業を拡大することも大切だが、以前の国内事業のような広げ方ではなく競争力のある分野に絞って広げていく。中国で総合食品メーカーを目指す必要はない。海外の成長と国内の変革を、健全な危機感を持って推し進めていく。






















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