伊勢志摩サミットで、メルケル独首相は日本の本音と建前の使い分けにうんざりしたに違いない。
安倍首相は世界経済がリーマンショック以来の危機の入り口にあることをメルケル首相やキャメロン英首相に認めさせようと、サミット前から動き回った。危機を認めさせて、消費増税先送りの大義名分にしたいというのが本音。海外要因を先送りの理由にしてしまえば、アベノミクスが失敗だったという批判をかわすことができる。
ドイツが協調的な財政出動に乗ってこない理由としていわれているのはこうだ。第1次大戦で膨らんだ財政が敗戦で破綻、ハイパーインフレに見舞われたトラウマゆえに財政拡大に消極的になる──。
実際はもっと単純。増税延期の大義名分を得たい日本の思惑を見透かして、お付き合いを拒んだだけだ。安倍首相の口車に乗っての財政出動なんて真っ平御免というのがメルケル首相の真意だろう。
だったら、安倍首相を止めてもらいたいものだ。日本の放漫財政が将来の世界経済の火種になっても構わないと、他国は見ているのか。
各国首脳が安倍首相にくぎを刺してくれなかったのは、それぞれ手いっぱいだったからだろう。メルケル首相は難民問題、キャメロン首相はEU離脱問題で大わらわ。オバマ米大統領も、支持率調査でクリントン候補がトランプ候補に逆転を許し焦っている。
それどころじゃない首脳たちは、日本が景気刺激に動き消費増税を先送りすることもやむなしと判断した。要するに、リスク対応における日本の優先順位を下げたのだ。だから、安倍首相の暴走を止めようとはしなかった。
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