静岡県富士市に住む影山光さん(55・仮名)は、まさか病院で仕事の相談ができるとは思ってもみなかった。ある日、静岡県立静岡がんセンターで定期検診を受けたところ、治療費から仕事のことまで自由に相談できる窓口があることを知った。
がんで倦怠感と体調不良が続き、仕事は続けられないと悩んでいた。がんセンターの正面玄関の近くにある窓口「よろず相談」を早速訪れてみた。
メディカルソーシャルワーカー(MSW)の資格を持つ女性が、自分の電子カルテを見ながら相談に乗ってくれ、仕事を辞めたら再就職は大変になること、有給休暇が取得できるのであれば少し休んで治療に専念したらどうかなど、アドバイスしてくれた。
静岡がんセンターの「よろず相談」は、全国約400のがん診療連携病院に設置されているがん相談支援センターの草分け的存在だ。2015年に受けた就労相談は417件で前年比1.5倍に増えた。
東京都大田区にある東京労災病院は昨年、自分たちから積極的にがん患者にアプローチして、就労やおカネに関する悩みなどを聞き出す「アウトリーチ支援」を開始した。
「相談窓口はあるが、待つだけでは患者さんやその家族の本当のニーズは引き出せない」(同院の小山文彦・治療就労両立支援センター長)。患者データベースを基に、手術後の抗がん剤治療などの方針が決定した患者を抽出。仕事やおカネについて困りごとがないかをMSWが聞き出し、必要に応じてアドバイスや支援を行う。
ハローワークと病院が連携
相談者は60代の高齢者が多く、60歳前後でがんの告知を受け、当惑して会社を辞めてしまう人が少なくない。「両立支援とは仕事を辞めさせない支援だと痛感している」(小山センター長)。
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