「イトーヨーカ堂は本当にみじめな成績でした。これは私自身の指導力のなさをはっきり世の中に示したと思います」。
5月11日午後、新高輪プリンスホテルでセブン&アイ・ホールディングス(HD)の取引先懇親会が開かれた。その場で同社の鈴木敏文会長は参加者が驚くほど率直に反省の弁を述べた。
「指導力のなさ」とは、ヨーカ堂の営業利益ピークの1993年2月期以降に、商品政策の改革ができなかったことを指す。鈴木氏の話は続く。「もし自分で現場に入り、踏み込んだ仕事をしていれば、こんなことにはならなかった」「ここまで落ちてしまえば、営業の人もこのままではダメだと気づくだろう」。
出版取次会社のトーハンから30歳でヨーカ堂に転職した鈴木氏は、販売現場の経験がほとんどない。それを逆手にとり、緻密なデータ分析を武器に小売業の革新に挑んできた。店や商品への思い入れを極力排する、流通業界では希有な経営者だ。
セブン&アイHDは2016年2月期まで5年連続で最高益を更新してきた。だがそれは、完全にセブン‐イレブン・ジャパン(セブン)に依存したものだ。
鈴木氏が手塩にかけて育てたセブンはコンビニ業界で圧倒的な地位を築いている。その優位は鈴木氏がいなくなっても、すぐに揺らぐことはないだろう。しかし、ヨーカ堂は衣料部門の不振など深刻な課題を抱え、今後の展望が見いだせない。この状況で身を引くのは、鈴木氏にとって心残りなはずだ。
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