ロボットスーツ「HAL」を開発・販売するサイバーダイン。創業者の山海嘉之CEOは、現役の大学教授でもある。二足のわらじをどう履いているのか。
──外部から経営者を招き、研究開発に専念することは考えなかったのですか。
それは地球の中でも、かなり最低な発想だ。革新技術をコアとするビジネスは、基本原理を創り出した当人が事業を牽引しなければ難しいと思う。革新技術で新市場を創造し新たな経済サイクルを考えることは、門外漢には難しい。しかもベンチャーにはスピード感が求められる。経営のプロを連れてくると組織を作り始めて、一瞬にして大企業病に陥ってしまう。
医療機器を造るために、国際標準化機構(ISO)の認証を取得するのも大変だった。大企業出身の品質管理の専門家を雇用したが、4年過ぎても取得できない。彼らは既存の認証取得・維持・管理の経験しかないため、ゼロからの仕組み作りがわからない。あらためて私が引き受けて経験の浅いメンバーでチームを再構成し、専門家の力も借りつつ進めたら8カ月でできた。今ではISOのエキスパートメンバーとして、生活支援と医療分野にかかわるロボットすべての国際規格のルール作りを行う側になっている。国際規格や標準などの第三者認証機関が、当社に研修を受けに来たりもする。
──研究者の経験は経営に役立ちますか。
私は原理から発明する。会社を設立するとき、どうすれば理念を追求し続けられるかを考えた。定款に記載した「技術の平和利用の理念」のため、敵対的買収による悪用を防ぐ必要があった。超短期的な視点でモノを言う株主に左右されないことも重要だ。議決権が問題になると考え、議決権種類株式での上場を決めた。日本で初めて実現したが、これは1つの発明と思っている(上場時、山海氏は発行済み株式総数の約43%、議決権ベースで約88%を保有していた)。
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