インターネットの普及や多くの新たなネットサービスの出現など、過去10年、20年の状況を振り返れば、IT業界の変化が非常に速いことはイメージしやすい。だが、今起きている中で重要なポイントは、IT業界に限られていた変化のスピードが伝統的な産業の中にも入り込んできていることだ。
たとえば今年1月、トヨタ自動車は米シリコンバレーに人工知能(AI)の研究所を設立した。自動車業界の大手がハイテク企業のひしめくエリアで大規模な拠点を立ち上げここまでAIの開発に力を入れる状況を、5~6年ほど前に誰が想像できただろうか。こうした大きな変化はどの産業でも起きる可能性がある。数年で終わる話ではなく、10年、20年単位でもっと激しくなっていくだろう。世界中がそうした動きにのみ込まれており、日本だけが対応しないわけにもいかない。どの業界であれ、自分が働いている間に大きな変化に直面する可能性が高まっている。
どうせ変わるのであれば大きなチャンスとしてとらえて、新しい時代に必要な能力を身に付けるしかない。社会人はもとより新入社員も、会社に任せておけば定年まで面倒を見てくれるとは考えないほうがいい。国際競争にさらされ、大企業でも人材開発に経営資源を割く余裕がなくなってきた。将来を考えてどんなスキルを身に付けるのかは、自分自身が主人公になって考えるべきだ。
私が最近言っている変化に対する方策は「斜め展開」だ。一つの会社で10年以上働いてきたのであれば、その間に蓄積してきたことは個人にとって大きな強みだろうし、完全に捨ててしまうのはもったいない。自分の強みを生かしつつ、より有利になる展開を考えたほうがいい。
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