もしも、“商社オブ・ザ・イヤー”があったなら、2015年は文句なしで伊藤忠商事だ。春には中国の国有複合企業CITICへの思い切った巨額投資で大向こうをうならせ、業績でも大躍進を遂げた。
純利益で不動の1位を誇ってきた三菱商事が、資源価格の続落により、当初計画していた3600億円から期中に3000億円に下方修正。一方、非資源部門の収益力を高めてきた伊藤忠が資源関連で減損処理をしても期初予想3300億円を維持するため、このままいけば三菱商事、三井物産を抜き、初のトップに躍り出る。
ただ、純利益以上にキャッシュの出入りが重要だ。投資や配当の原資となるキャッシュフロー(CF)では、景色が変わる。
運転資金の影響を除いた基礎CFでは、15年度第2四半期累計で、伊藤忠の1700億円に対し、三菱商事、三井物産が各約2700億円。細ったとはいえ、競争力の高い資源権益から継続的に配当金を受け取る2社が依然、伊藤忠を凌駕している。この基調は15年度通期でも変わらないと見られる。
16年度も資源価格の低迷が予想されるのに対し、CITICから10%相当の持ち分利益600億~800億円をフルに取り込む伊藤忠が純利益連続トップとなりそうだ。だが、CITICからの配当収入150億円(推定)は「6000億円を全額借り入れで調達した金利負担とほぼ帳消し」(商社担当のクレジットアナリスト)となり、CF上の貢献は高くない。また、肝心のシナジー案件は、中国の腐敗撲滅運動の影響もあり、「1年間は様子見」(岡藤正広社長)と当初計画より遅れる。CFでは2社の優位が続きそうだ。
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