ドイツは今、三つのショックに見舞われている。債務危機以降、解決の出口が見えないユーロ危機。シリアを中心とした大量の難民の流入。そして、今回発覚したフォルクスワーゲン(VW)による排ガス不正問題だ。
「メイド・イン・ジャーマニー」ブランドの傷ついたドイツが支払う代償は大きい。だが、在任10年を迎えるメルケル首相をいちばん悩ませているのは難民問題だろう。
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「私が首相として経験してきた中で、最も難しい任務だ」
10月中旬、与党キリスト教民主同盟の集会に出席するため、ドイツ東部の町を訪れた「欧州の帝王」は難民問題についてこう述べた。
老獪なギリシャ相手に、債務返済の原則論を崩さなかったメルケル首相。現実主義的な政治姿勢で知られた宰相が、開放的な難民受け入れ政策に踏み切ったのは大きな驚きだ。トルコに流れ着いた3歳のシリア人男児の写真が旧東独出身のメルケルを動かしたのかもしれないが、政治家としては致命傷になりかねない。
戦後70年、東西ドイツ統一から25年という節目の年を迎え、欧州域内で「強すぎるドイツ」への警戒感も広まっている。欧州主要国と比べてドイツの実力は一歩抜きんでている(図表2)。1999年の単一通貨ユーロ導入以降、スペインなど南欧諸国との経済力格差は広がるばかり。独り勝ちぶりに、「今やドイツがヨーロッパをコントロールしている」といった警戒論が絶えない。
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